株を買うときの注文画面の用語の意味
株を買う時や売る時の注文・発注時の画面に出てくる言葉や用語の意味、そして、株価の水準(高いか安いか)を判断するための基準になる用語の解説です。
用語以外の株の買い方・売り方でよくある質問は別ページにまとめていますのでそちらを参照してください。また、注文発注時以外の言葉は用語集のカテゴリを参照してください。
株価の水準(高いか安いか)を判断するための基準
各会社によって、企業規模や発行株数が違うため、他の企業と比べて株価が高いか安いか単純に比較することはできません。これが株式投資の難しいポイントです。
例えば、トヨタが1株7,000円で、オリエンタルランドが1株10,000円だったとします。この場合、単純にトヨタが安いとは言えません。どうやって、2つの企業を比べるのか?その基準を持っていないから、多くの人が株式投資で失敗してしまいます。
株の投資では買った時と売った時の差額が利益になるため、純粋に安く買って高く売ることを考えることが大事です。
では、何を基準に安いと判断するのでしょうか?ここでは、その基準について紹介していきます。
何を基準に安いと判断すればいいのか?
スーパーで売られている野菜が高いか安いかわかるのは、日頃購入している相場の基準があるからです。だから「今日は安い」と判断できます。
しかし、株に関しては一般的には毎日同じ株を取引することはありませんし、そもそもいつもの価格が適正なのかもわかりません。
では、何を基準に安いかどうか判断するのか?ここが非常に大事なポイントです。
安さを判断するときに、基準となる指標がいくつかあります。BPSやPBRといった指標は株式投資をする際に役立つひとつの指標です。このような指標が、株式投資にはいくつかあります。
株価水準を判断するための指標をいくつか紹介していきましょう。
PER(株価収益率)
PERは株価が割高か割安かの水準を判断するための指標の代表的な一つで、今の株価が会社の収益力に対してどのくらい高くなっているかを知るための数字です。
- PER=株価収益率
PERが高ければ株価は割高、PERが低ければ株価は割安ということになります。
業種によってPERの平均値が違うため、「これ以上だと高い・安い」というものではなく、あくまでも判断基準の一つです。
BPS(1株当たり純資産)
株価水準を判断するための基準の一つに、BPSというものがあります。BPSとは、1株当たり純資産のことです。
- BPS=1株当たり純資産
BPSは、その会社の資産の価値に対して、均等に一株ずつ割り振ったら、一株当たりの純資産はいくらになるのかを導き出したものです。
そもそも、純資産とは何なのか?まずはここから理解しましょう。
企業は多くの資産を持っています。現金や在庫に土地や建物…これらすべての資産のことを、総資産といいます。また、企業は通常銀行などから借金をしています。この借金を総資産から引いたものが純資産です。
- 純資産=総資産−借金
要するに、企業が倒産した場合、すべての資産を売却して現金化し、すべての借金を返済した後に残るものが純資産になります。
BPSの具体例
ある会社(A社)の純資産が7,200憶円だとします。仮にこのA社が倒産した場合、現金や土地などすべての資産を売却して、借金を返済しても手元に7,200憶円残ることになります。
この純資産である7,200憶円を株主に平等に分配した場合に、1株当たりいくらもらえるのか?これが1株当たり純資産(BPS)です。
純資産をその会社の発行株式数で割れば、BPSを求めることができます。A社の発行株式数を3憶6000万株として計算したものが下記になります。
7200憶円/3憶6千万株=2,000円
BPS=2,000円
これが決算書から導き出される純粋なA社の資産価値です。仮に今倒産しても、株主の手元に残る理論価格のため、BPSは理論上の株の定価とも考えられます。(実際には株の定価はありません)
仮にA社の株価が1万円だった場合、2,000円のものが1万円で売られていることになります。
それだけだと高いと感じるかもしれませんが、今後の成長性や株価の上昇の期待などがあるので、基本的にBPSより高く取引されるのが普通です。
このように、基準をもとに株価の水準を判断できることは、株式投資にとって非常に大切なことです。
BPSは自分で計算しなくても、ネットで誰でも無料で閲覧できます。
それなのに、多くの人がBPSを確認しません。それどころか、株式投資をしている人の多くがBPSを知らないのが現実です。株で利益を出せる人が、一握りしかいないことも頷けますね。
BPSは定価と考えることができます。そもそも株に定価はありませんが、BPSを株の定価と仮定することにより、市場で取引されている株価がBPS(定価)よりも高いか?安いか?で株価水準を判断します。
そして、現在の株価が定価の何倍で取引されているかを表した指標がPBRです。
PBR
PBRとは株の定価(BPS)に対して、株価が何倍で取引されているのかを知るための指標です。下記の計算式で求めることができます。
- PBR=株価/BPS(定価)
BPSより株価が高ければ1より大きくなり、定価より株価が安ければ、PBRは1より小さくなります。
例えば、BPSが2,000円に対して、株価が1万円のA社の場合、PBRは5倍です。PBR5倍なら、定価の5倍で取引されていることになります。
株価10,000円/BPS2,000円=PBR5倍
PBRが低ければ低いほど、株価は割安です。このPBRを使えば、株価水準を判断する一つの基準になります。
・株価1万円、定価1万円、PBR1倍=定価で取引されている。
・株価9,000円、定価1万円、PBR0.9倍=定価より安く取引されている。
ただ、これだけを基準にしても、投資で成功することはできません。PBRが1以下でも、株が上がらなければ儲かりませんからね。他の指標も総合的に考えて投資判断することが大切です。
ROAとROE
会社の価値を上げれば、株価は上がっていきます。では、どのように会社の価値を上げるのか?そのために必要なのが会社の利益です。
会社が利益を出すことによって、内部留保を確保することができます。また、稼いだお金を使って事業を拡大したり、効率化して売上を上げることも可能です。こうやって、会社の価値を高めて、その結果株価にポジティブな影響を与えることが、企業の目的であり使命なのです。
利益は会社の価値を高めていく原動力のため、その点に注目した株式投資分析の指標も存在します。それがROEとROAです。
- ROE・・・自己資本利益率
- ROA・・・総資本利益率
会社の総資産の中で、自分で用意したものが自己資本、それ以外が他人資本(借金)になります。
自己資本をどれだけ効率よく使って利益を上げているのかを計るのがROEで、総資本全体をどれだけ効率よく使って利益を出しているのかがROAになります。
- ROE=利益/自己資本
- ROA=利益/総資本
ROEは上記のように計算するため、自己資本が小さくなればなるほど、ROEは上がってしまいます。そのため、ROEが高いからすごくいい会社だと思ったら、実は借金が多いだけだったということもあり得ます。そうならないためにも、ROEとROAの両方を確認しましょう。
返すお金が少なければ、コスト(金利)が小さくなるため、借金は少ないほうがいいですが、だからといって100%自己資本がいいわけではありません。借金をして、金利以上に利益を生み出すことができれば、そちらのほうが効率的です。必ずしも無借金がいいわけではないことを覚えておきましょう。
また、業種によって、ROEとROAは全く違います。大型製造業と新興IT企業を比べてもあまり参考になりません。比較をする際には、同業他社で比べることも覚えておきましょう。
一つの指標だけでなく複数で判断する
投資の神様と言われているウォーレン・バフェットは、初期のころはPBR1倍以下の株に10年以上投資して資産を築きました。もちろん、PBRは投資判断の一つの基準であり、これだけで判断しているわけではありません。
BPSやPBRなどの決算書の数字をもとに、指標を導き出して株価分析をすることを、ファンダメンタルズ分析といいます。
いくつもの基準を使って、買うべき株を絞り込んでいく=ファンダメンタルズ分析をするのが、賢い株式投資のやり方です。
ロボット産業はどうか?今後インドはどうか?このように、未来を予測して株式投資で利益を出すのは困難です。予想はだいたいはずれます。プロでもはずれるのに、初心者なら尚更です。予想だけではなく、客観的な基準(数値)をもって投資判断をしましょう。
PER1つだけ見て割安の株よりも、PERもBPSもPBRも割安という株のほうがより割安と判断できますね。
ファンダメンタル分析だけでなく、株価チャートで値動き的にも割安というサインが出ていれば、より自信を持てると思います。
次は、注文・発注時の画面に出てくる用語の意味です。
注文・発注時の画面に出てくる用語の意味
執行条件
証券会社によって株を買う発注画面に「執行条件」というものが出てきます。この執行条件とは、株を買うときの注文に時間的な条件をつけることです。
「寄付で買いたい」「引けで成行注文したい」など条件付で指値や成行の注文をするときに使います。
特になければ「なし」や「当日中」を選べば執行条件の指定なしで発注ができます。基本的に自分から何も指定しなければ執行条件はなしになっています。
どんな条件が指定できるのかなどより詳しくは株の用語カテゴリの執行条件を参考にしてください。指成(不成)やIOC注文などは使いこなすと便利です。
単元
単元は株の売買の単位です。基本的に株の売買はこの単元単位で取引をします。
単元が100株の銘柄は100株単位で売買をするということです。
株価が100円で単元が100株なら100円×100株=10000円の資金が必要ということになります。
寄付
寄付とは、その日の最初に成立した取引のことです。
株の取引は朝9時に始まるので基本的には朝イチの9時が寄付になりますが、特別気配などですぐには売買が成立しないときもあります。そんなときはその日の最初に売買が成立したときが寄付になります。
基本的には寄付といえば前場の寄付のことを指すことが多いため、後場の寄付は「後場寄り」ということがあります。
前場の寄付で成立した株価がその日の初値になります。
寄付の反対にその日の終わりの取引は「引け」と言います。
引け・大引け
引けとは、その日の最後に成立した取引のことです。後場の引けを大引けと言います。
株の取引は午後3時に終わるので基本的には午後3時が引けになりますが、特別気配などで売買が成立しないときもあります。そんなときはその日の最後に売買が成立したときが引けになります。
後場の引けで成立した株価がその日の終値になります。
引けの反対にその日の最初の取引は「寄付」と言います。
指値
指値は基本的な株の注文方法です。値段を指定して買いや売りの注文を出します。
成行
成行も基本的な株の注文方法です。値段を指定せず「買える値段で今すぐ買う」という買いや売りの注文を出します。
参考:「成行注文」で今すぐ買う
逆指値
逆指値は指値を応用した便利な条件付の注文方法です。「いくら以上になったら買う」「いくら以下になったら売る」といった株価の条件を満たしたら買いや売りの注文を出すという方法です。
参考:逆指値注文の使い方
逆指値注文は非常に便利な注文方法ですが、どこの証券会社でも使えるわけではなく、使える証券会社が限られています。
不成・指成
指値で注文を出し、取引時間中に指値注文が約定しなかった場合に、自動的に引けで成行注文に変更する注文方法です。
証券会社によって指成(さしなり)や不成(ふなり)と呼び方が違いますが同じものです。
詳しくは株の用語カテゴリの執行条件の指成(不成)を参考にしてください。
PTS
株の取引は基本的に前場(朝9時〜11時半)と後場(12時半〜15時)です(参考:株が買える時間や期間はいつからいつまで?)。それ以外の時間帯にも注文を出しておくことはできますが、実際に売買がされるのは前場・後場の時間になります。
しかし、PTSではそれ以外の時間に時間外取引ができます。夜間取引などもPTSを使った時間外取引です。
PTSの取引も全ての証券会社でできるわけではなく、できる証券会社が限られています。
現物
現物というのは現物取引(げんぶつとりひき)のことで、ようするに普通に株を買うことです。基本的に初心者の方が株を買うときはこの現物取引をします。
信用
信用というのは信用取引のことで、証券会社からお金を借りて株を買ったり、証券会社から株を借りて売る(空売り)というものです。
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