50代女性です。4年前に母を、1年前に父を相次いで亡くし、両者から株式や投資信託等を相続しました。
しかし、それまで投資の経験はありませんでした。
相続がきっかけで始めた成り行き投資
投資を始めようと思ったことは、一度もありませんでした。両親が株式などを保有していることは知っていましたが、両親ともにそんなに早く亡くなるとは想像もしていなかったので、いずれは相続することになるとも考えていませんでした。
相続したときに迷ったのは、「自分にはわからないものなので、全て一旦売却して現金化するのが安全策なのか?」ということと、「何らかの考えがあって両親が保有していたものなので、ひとまず引き継いで保有し続けることが両親の意に沿うことなのか」ということでした。
結局、いったんはすべて名義変更手続きをし、保有することになりました。そして、「相続したからには」と多少興味も持ち、自分なりに少し勉強もしてみました。
相続した株は運試し。だから割り切って取り組めた
自分に全く経験のないことだったので、失敗して損をするのは嫌でしたが、元手は相続したものであって、自分で働いて得たお金ではありません。だから、損をした場合は自分には投資は向いていないか、またはもっと勉強が必要ということだと解釈するようにして、一種の運試しのようなものだと思うことにしました。
株式について両親にもっと聞いておけばよかったと思いますし、「相続したときはどうしてほしいか」ということも聞いていなかったので、正直持て余した部分もあります。
勉強が十分でない状態においては、全て運や勘の世界で博打のようなものだと考えていたので、そう割り切ると不安も迷いもありませんでした。
多少の損は、新しい世界を知る授業料
相続した株式を即現金化することは、両親と証券会社との長い縁を私の代で断ち切ることになります。一番迷ったのは、もし現金化したとして、「それが果たしてよいことなのか?」ということでした。
迷った結果、相続した株式は持ち続けることにしました。その決め手は、証券会社の方が感じのよい人物だったことです。もし嫌いなタイプの人物だったら、即売っていたでしょう。
損をしないことを主眼に置けば、株式は現金化すべきだったのかもしれませんが、多少の損はしても家計を揺るがすほどの金額ではありませんでした。また、証券会社の方に新しい株式の世界を教えてもらえたので、その授業料であり悪いことだったとは思っていません。
投資信託は手数料の少ないネット証券がお勧め
初めの頃は投資信託の配当金がやたらと振り込まれてきて、すごく得しているような感じがしましたが、その分元本がどんどん減っていったので、トータルすればそれほどの利益ではありませんでした。
投資信託のシステム自体もよくわかっていなかったので、証券会社の方任せの部分もありました。銘柄の買い換えやゼロクーポン債なども勧められて買い、それなりの利益も出ましたが、信用取引で安全策を取ったつもりが裏目に出て少し損を出しました。
今は本業が忙しいので、落ち着いたらまた勉強して、次に取引するときは手数料の少ないネット証券で取引するのがいいかなと思いました。少々利益を出してもかなりの額を手数料で取られるので、百万単位ぐらいの取引をちょこちょこ行うならネット証券の方が利益を出しやすいと思いました。
成り行きで始めた投資も、今は興味しんしん
始めたばかりの頃は、お金が儲かる・儲からないは関係なく、例えば新しく趣味の教室に通うとか、新しいスポーツに挑戦してみるといった時のワクワク感を持っていました。
ただ、もともと数字には弱い方だし、お金にがめつい方でもないので、積極的に投資にかかわる気持ちはまるでありませんでした。私の場合は相続という外的な要因によって成り行きで投資を始めることになったからです。
しかし今は、投資を始める前より経済や金融の知識は多少増えましたし、興味も増しました。経済は人間社会を動かす大きな1つの分野ですので、知識も興味もないよりはある方がいいと思います。もちろん政治も経済と深くかかわりがあります。世の中、何事も実直に勉強してみるものだなと今は思っています。
情報に頼りすぎず、自分の勘に頼れば後悔も少ない
最初はお小遣い程度からネット証券で始めるのがよいと思います。あと、時差のある海外相場を気にしすぎると本業がおろそかになったり健康面で問題が出たりもしますので、ほどほどがいいかと思います。「これからのトレンド」などという記事は全く参考になりません。誰かの意見を鵜呑みにして投資するぐらいなら、自分の勘に頼っていく方が失敗した場合も後悔も少ないと思います。