損切りができない心理的原因と損切りを上手くする方法

株の取引をするにあたって、「損切りが上手にできることは大事」とよく言われます。でも、わかっていてもうまく損切りができない人が多いのも事実です。

損切りとは要するに「これ以上上がる見込みがないなと思ったらその取引で損をしていてもできるだけ早く手放す(売る)決断をする」ということです。

言葉で見ると当たり前のようですが、この損切りが難しくてうまくできずに損失を拡大してしまったり、損切り貧乏などという言葉があったり、タイミングを逃して売れずに塩漬け株を持ち続けるという人も多くいます。

損切りの何が難しいかというと、感情が邪魔して売ることができないというのがあります。

ここでは損切りが難しい原因を把握し、そして上手に損切りをするためのやり方を解説します。

損切りが難しい心理的(感情的)原因

損切りができないという経験がある人はわかるかもしれませんが、これから株を始める初心者の方にはいまいちよくわからないと思うので、例えで説明します。

例えばあなたが液晶テレビを買ったとします。前から欲しかった最新版の4Kの大型液晶テレビ。これを50万円で買ったとしましょう。ただしセール品なので返品・交換・返金はできません。

テレビを買って1ヶ月ぐらい経った頃、何らかの理由で「もうテレビは見ない」と決めたとします。そうなると部屋が狭くなるので置いておいても邪魔になるだけです。そこで、売ろうと決めてリサイクルショップに持って行きました。

最新の機種とはいっても、リサイクルショップに持っていけば半額以下の20万円、オークションなどで売ったとしてもそのぐらいにしかならないとします。

売ったら30万円の損。

さて、あなたは50万円で買った「もう見ないテレビ」をどうしますか?

  1. せっかくだからそのまま持っておく?
  2. 見ないんだから売ってしまう?
  3. いったん決断を保留して後で考える?

ここで「いや、どうせ見ないんだから売るでしよ?」と当たり前のように2の選択肢を取れる人は少ないと思います。

「もしかしたらまた見るかもしれないし」「誰かが欲しがるかもしれない」「この型の人気が出て後で高く売れるかもしれない」

などと「売らなくていい言い訳」を考えて売らないことを正当化しようとします。

しかし、テレビなんてどんどん新しい型が出てくるから放っておいたらさらに下っていくだけです。

本当は買った時点で失敗していたんです。そして元に戻すことはもうできません。

売ったら30万円の損をしたことが確定してしまう。それを認めたくない、受け入れたくない。売らなければ損せずに済む可能性(限りなく低い可能性だけど)が残される。

そうやって多くの人は必要のないテレビを持ち続けてしまいます。

損切りしないでプラスに!「得した」場合のデメリット

売らずにいたらちょうど知り合いでそのテレビを欲しがってる人がいてもっと高く買い取ってくれた。そんな可能性もあるかもしれませんね。

けど、そうなる可能性は非常に低いです。今回はたまたま運がよかったですが、可能性で考えるなら、早く売るべきでした。

そして今回はテレビの話でしたが投資の話ではよくあることです。

投資では100%勝ちというのはありえません。10回の投資が何勝何敗になるか、これが勝率。そして、勝率よりも大事なのは買った時の勝ちの金額を大きくし、負けた時の負けの金額を小さくすることです。

大げさに言えば、勝率が非常に悪く9勝1敗だったとしても、1回の負けが10万円の損、1回の勝ちが100万円の勝ちだったら合計ではプラスです。90万円の損と100万円の勝ち、合計ではプラス10万円ですね。

これが8勝2敗だったら80万円の損と200万円の勝ち。大きなプラスですね。

このように投資家は、特に短期中期の投資の場合損失をいかに小さくするか、そして利益をいかに大きくするかが大事です。(戦略によります。小さい利益でも利益が出ているときに確実に取って積み重ねるというタイプの人もいます)

先ほどのテレビの話に戻りますが、合理的に考えれば「使わないなら売ってしまったほうがいい」んです。

「損したくない(損を確定したくない)」「買ったばっかりだし」といった感情が合理的な判断を行動に移す邪魔をするんですね。

先ほどテレビを売らずにいて、「たまたま欲しがっていた友人がいて高く買ってくれた」という可能性の話をしましたが、これってラッキーですよね。

しかし、投資の世界ではやってはいけないケースです。投資の世界で言うと損切りするべき株を持ち続けていたら、たまたま運良く上がってプラスに戻ってきたというパターンです。

「え?プラスになったんでしょ?なぜダメなの?」

と思うかもしれませんが、投資の場合は売買をするのは1回ではないです。本来するべきではない判断をしたことによって利益が出てしまう。

そういう経験をすると、また同じ状況になった時に、経験から同じ判断、つまり合理的ではない判断、可能性で考えたら選んではいけない選択をしてしまいます。

テレビを売るケースだったらもう同じようなことはないと思うので大丈夫ですが、株の取引の場合は先ほども言ったように何度も取引した合計でプラスを出すことが大事です。勝率100%というのはありえないので、基本的には損を小さく、利益を大きくということをくり返せる方が強いんです。

もちろん、ちゃんとした根拠があって持ち続けた結果上がったならいいんですよ。売るべきなのに感情的に売れない、上がる根拠もないのに「上がってくれ!」と持ち続けるのは間違いだということです。

その場合、つまり最初に買った時の「上がる根拠」が崩れた時、もしくは状況が変わって今後下がりそうだと判断をしたときはいち早く損切りをできる人の方が投資には向いています。

今この銘柄を持ってなかったら「今だったら買うかな?」と考えた時、答えがNOなら売ってしまうということです。

ようは感情よりも理性の判断を優先できるかということです。

ちょっと難しそうだと感じましたか?

でも、ルールをちゃんと決めてしまえばその通りにするだけなので、できないのは実は損切りラインがちゃんと決まっていないだけだったりします。

いったん売って買い直すと決めてしまえば意外とできますし、感情を入れずに自動的にできる対策もあります。

損切りラインの目安やルール・実行タイミング

損切りのルールやタイミング・損切りラインの目安に絶対的なものはありません。ただ、以下の2つのパターンが多いです。

絶対的な正解はありませんが、参考として損切りのルールの例をあげてみます。

基本的には銘柄ごとに損切りラインを決めます。株価の動きや状況を見て銘柄ごとに「○円以下になったら損切りする」と決めます。

例えば株価チャートを見て「下値抵抗線を下回ったら損切り」というように決める場合ですね。この場合はチャートを見て下値抵抗線を下回る株価はいくらかを見て数字を出して、その株価を損切りラインとします。

あとは板情報を見て、大きな買い板を下回ったら「強い売り圧力」として損切りラインにするということもあります。

デイトレなど短期売買のトレーダーは何%を損切りラインにする、と自分ルールで決めていル人も多いようです。

損切りのタイミングに関しては、損切りラインとして決めたルールになったら「今すぐ」です。タイミングを逃してしまった場合は、損切りラインを下回っていたなら「今すぐ」です。

損切りを上手くする対策

まず第一段階としては誰が見てもあきらかなように数字を決めてしまうことです。

「100円を切ったら損切り」と決めてしまえば、ルール適用かどうかは株価を見れば明らかですね。でも「100円ぐらい」のように数字があいまいだとタイミングを逃します。

もし動きが変わってまたすぐ上がりだしたら、「買い」と判断したなら買いなおせばいいだけです。手数料や売ったときと買い直した株価の差額分はもったいないですが、「売り逃して損失拡大」のリスクと比べれば小さいものです。

ここまでが損切りをするうえでの大前提ですが、それでもいざ損切りラインを割ったときに「一時的に下げただけなんじゃ・・・」「またすぐ上がるんじゃないか?」などと感情が邪魔してできないのが損切りの難しいところです。

その場合の対策もあります。

感情が邪魔してできない場合の対策

感情が邪魔して損切りが難しい場合は、買った時点で逆指値ツイン指値などを使うことで、感情を挟まず自動的に利益確定や損切りをすることができます。

買ったときに利益確定や損切りラインを決めてしまい、その株価になったら自動的に決済がされるように設定しておくということです。

仕組みをうまく利用するということですね。これだけで一気にかなり有利な状態になります。

ちなみに、逆指値やツイン指値は全ての証券会社やネット証券で使えるわけではないので逆指値注文が使えるネット証券ツイン指値注文が使えるネット証券を使う必要があります。

ツイン指値はマネックス証券で使える注文方法です。マネックス証券は初心者にも使いやすくサポートも充実したネット証券なので、これから株始めるということはぜひ使ってみてください。

初心者でも使いやすくて、使い込めば高機能。私自身もメインの証券会社として使っている初心者の方におすすめのネット証券です。

こういった自動の注文を使うことで、ルールどおりに行えばトータルで利益が出るとわかれば、自分でやってもできるようになるかもしれません。まあ、自動注文で利益が出せるならわざわざ自分でやらなくていいですけどね。

 

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