自分の資金を4つの種類に分けて考える
投資を始めるときには、まず自分のお金を4つの種類に分けて考えましょう。
- 余裕資金 (投資資金のメイン)
- 必要だけど長期間使わないお金 (安全運用)
- すぐに必要なお金 (手を出しちゃダメ)
- 借金(借金と思っていない借金に注意!)
面倒だと思うかもしれませんが、金額は同じでもお金の種類によってリスクの大きさが違います。
「遊ぶための100万円」と「結婚式のために貯めた100万円」や「子どもの将来の学費の100万円」では同じ100万円でも自分にとっての意味・重みが違うのはわかると思います。
前者は「余裕資金」、後者は「必要だけど長期間使わないお金」です。
これは自分のリスク許容度にも関連してくるため、投資の成績にも大きく関わってきます。投資を始めるときにはぜひしっかりと資金の分類をやっておきましょう。
余裕資金 (投資資金のメイン)
まず余裕資金。これは例え全部なくなってしまったとしても、その後の人生に重大な影響が出ないお金です。
遊ぶためのお金や交際費、貯金のうち将来決まった使う予定(子どもの学費や結婚資金など)がない部分ですね。基本的にはこの「余裕資金」を投資資金にまわしましょう。
もちろんどんなお金でもお金がなくなってしまうのは精神的には痛いでしょう。けどここで言う余裕資金というのは、遊ぶ予定の資金、旅行に行く予定の資金や、おいしいものをたくさん食べるために貯めたお金など、失ったら贅沢はできなくなるけど人生設計が狂ってしまうようなものではない資金が余裕資金です。
贅沢で使ってしまったり、使う予定もないのに銀行に貯金しておくなら「もったいないから投資で増やしてみようかな?」という感じでしょうか。投資がうまくいけばもっと贅沢もできるし貯金も増えますからね。
必要だけど長期間使わないお金 (安全運用)
次に、将来的には絶対に必要だけど長期間使わないお金です。
子供の学費とか、結婚式の資金とか、老後の生活のために必要な退職金とか、その資金がなくなってしまうと人生の大事なプランが無くなってしまうお金のうち「しばらく使う予定がないお金」です。
こちらはできれば手をつけたくないお金ですが、「そこそこ大きな金額で何年間もそのままにしておくのはもったいない」という資金でもあります。銀行に置いておいても増えないですからね。そこで、このお金を投資で使うならローリスクまたはほとんどリスクのない方法で安全に運用していきたいです。
100万円を10年間銀行に預けてもほとんど増えません。でも、年1%くらいのリスクの低い運用でも10年経てば10万円増やせる、という感じです。
もちろん、時期が来れば必要になるお金なので高いリターンを狙わずリスクの低い投資に留めましょう。投資にまわすとしても大きく増やすことを期待せず「銀行に預けるよりはマシ」くらいのつもりで元本が大きく減るリスクが低いものを選ぶといいでしょう。
国債や保険などといった「大きく増えることはないけど銀行に置いておくよりはマシ」で、元本が減るリスクの無いもの(あるいはリスクの極端に低いもの、仮に減ったとしても大きく減ることはないもの)での運用にとどめておきたい資金です。
使う時期はだいたい決まっていると思うので、たとえ減ったとしても少し貯金を頑張れば取り返せる範囲の「大きく減ることはない安全な投資」にとどめます。
このあたりのシミュレーションはマネックス証券のマネラップ(MSV-LIFE)などはリスクやリターンのバランスがわかりやすくていいですね。どのくらい増える可能性がある?減るとしたらどのくらい?その可能性は?などがわかります。マネラップはマネックス証券の口座を持っていれば何度でも無料で使えるので試してみると自分の資金の長期的な資産運用のイメージがつくと思います。
長期間使わないお金は、そのお金が必要になるまでの期間でも違ってきますね。例えば1年後に必要だとそれまでに貯めるのは無理ならリスクは取れないですね。でも10年後ならまた貯めることもできる可能性が高いから少しリスクを取れる、という感じです。
すぐに必要になる資金 (手を出しちゃダメ)
あとは、すぐに必要になるお金や毎月の生活費などの日常で使う資金。こちらは投資にまわすべきではない資金です。
万が一運用に失敗してマイナスになってしまった場合借金をすることになってしまいますからね。
資金をちゃんと分類しておかないとこのすぐに必要になる資金を使ってしまいがちです。給料日直後の貯金に少し余裕があるときに投資を始めて、万が一負けてしまうと「次の給料日まで生活費が足りない!」「クレジットカードや光熱費の支払いができない」となった場合に借金をするはめになってしまいます。
また、先ほどの「必要だけど長期間使わないお金」も、使う時期が近づいてきたらこの「すぐに必要になるお金」になりますので注意しましょう。
借金(借金と思っていない借金に注意)
最後に借金。 これは絶対に投資にまわすべきではありません。株を始めようと思ったとき最初に投資する資金がないからといって、投資のためにお金を借りるのは絶対に避けたほうがいいです。
利益を出しても借金の高い利息で利益が小さくなる、損失が出たら借金が残るうえに高い利息も払わなければいけない。負けのリスクのほうが大きいので冷静な判断ができる人は借金で投資はしません。
まあ投資のために借金をする人は少ないとは思いますが、ここでのポイントは「借金と思っていない借金」がたくさんあることです。
例えばクレジットカードのリボ払いや車のローンなど、これらの利息の高い借金がある場合は先に返済を完了してから投資を始めた方が良いです。
なぜなら、これだけ高い利率での運用というのは初心者にはなかなか難しいからです。
投資でコツコツ利益を出す(出せるかどうかはわからない)より、そのお金で返済してしまう(確実に将来の支払いが減る)ほうが効率が良いです。
例えば投資で5%の利益が出せたとして、クレジットカードのリボ払いの利息が14%取られていたなら、投資で頑張るよりその資金を返済にまわしたほうが効率がよかったことになりますよね。
「投資にまわすより返済にまわしたほうが確実で得」なのにそういう”借金と思っていない借金”を放っておいたまま投資を始めてしまう人が意外と多いようなので気をつけましょう。
時間と労力をかけて投資で利益を出しても、全てリボ払いの利息で食いつぶされてしまう。だったら先にそっちを返済してしまいましょうという話です。
年間14%で運用ってかなり優秀な成績ですからね。
住宅ローンに関しては金利が低ければ投資を優先するのも良いでしょう。金利2%や3%くらいならまだ投資のほうが利益を出せる可能性も充分にありますからね。
投資にまわせる資金とそうでないものを把握する
このように、投資を始めるときはまずは自分の資金を分類し、投資にまわせる資金とそうでないものを把握することが大事です。
借金がある場合はまずそちらの返済が先。
そして基本的には「余裕資金」で投資を。
そして「必要だけど長期間使わないお金」はあまり大きく増やすことは期待せず「銀行に預けるよりはマシ」くらいで個人向け国債などで安全に運用してみたり、リスクを取るにしても日経平均株価などのインデックス型の投資信託やETFなど、リスクの低い商品にしたほうが良いです。
ちゃんと資金を分類しておかないと「気づいたら手を付けてはいけないお金を使っていた」「結婚資金がない!」「子どもの学費が払えない!」なんてことになってしまうので注意して下さい。
投資にまわせる余裕資金が無いときはどうする?
自分の資金を分類するとよくあるケースが「投資にまわせる資金なんてないんだけど?」となってしまうケースです。
投資にまわせる余裕資金がない場合は、すぐに投資を始める必要はありません。まずは「資金を作る」ことから始めましょう。
そんなに焦る必要はないですからね。
いきなり大きく始めるのではなく10万円以下の小さい金額で買える株もあるしミニ株などもあるので、いざある程度のお金が集まったときのために少額で経験を積んでおくのも手ですね。
実際の取引はせずにネット証券の口座を作って買ったつもりでリアルなシミュレーションをしてみるのもありです。
実際の買い注文画面を見ながら「ソフトバンクの株、今の株価○円で買ったことにしよう」とメモしてその後の株価の動きをチェックします。「買ってたら○万円儲かってた」「買わなくて良かった」といったリアルに近い経験になりますし、自分の実力もわかってきますからね。
余裕資金ができたときにゼロからスタートではなく経験者として慣れて運用に取りかかれるというのは大きなメリットになりますよ。