AIに投資の運用をしてもらう「ロボ・アドバイザー」
最近はAI(人工知能)も日々進化していて将棋や囲碁などではトップの棋士にAIが勝ってしまったりしています。シンギュラリティと言って「人工知能が人間より賢くなる日」も近いと言われています。
そんな優秀になってきた「AIの力を投資にも活用できたら」、と思う方も多いでしょう。
AIの投資への活用は実際に進んできており、大手証券会社のSMBC日興証券では、「AI株式ポートフォリオ診断」や「AI株価トレンド予報」というAIを使ったサービスを無料で提供しています。
AI株式ポートフォリオ診断は、決算データや株価データを学習させた株価予測AIが1ヶ月先の期待収益性を予測し、効率的なポートフォリオの提案をしてくれたり、AIが銘柄の状況を診断してリバランスの提案をしてくれます。
AI株価トレンド予報は、AIが収集した短期間で株価に影響を与えそうなニュース等の情報を基にアナリストが株価の動向を予想しメールで通知するサービスです。
また、「テーマ投資」のフォリオやSBI証券のテーマキラーでもAI(人工知能)は人気のテーマですね。AIテーマでどんな銘柄がどんな運用成績なのかはフォリオの公式サイトで見ることができます。
関連銘柄や情報収集だけではありません。投資のアドバイスやAIに投資の運用も任せたらどうなるか・・・
AIにお金を渡して投資の運用をしてもらうことができるのがいくつかの証券会社が提供しているロボ・アドバイザーというサービスです。
お金だけ渡して投資の運用をしてもらう「ラップ口座」
その前に、お金だけ渡して投資の運用をしてもらうサービスといえば、証券会社の「ラップ口座(ファンドラップ)」があります。
ラップ口座は主に数百万円から数千万円以上の大口顧客に対して大手証券会社などが提供している「お金だけ預けて運用をお任せするサービス」ですね。
例えば大手証券会社の野村證券の野村ファンドラップは500万円からと1000万円からの2つのプログラムと、5000万円からの野村SMAというサービスがあります。大和証券は300万円から(オンラインは1万円から)。
大和証券は動画のCMもありますね。
このように証券会社のラップ口座ではファンドマネジャーなどが資産を運用してくれますが、この場合はかなりたくさんの資金がないと相手にされないこと、そして運用のコストが大きいというデメリットがあります。
そして、ファンドマネージャーも実力はピンキリ。ファンドマネージャーに任せたからといってそれで安心ということはありません。
ファンドマネージャーに運用を頼むとしても、トップ数%の実力のファンドマネジャーに依頼することなどなかなかできるものではありません。
運用の実力が低いファンドマネージャーに資産を減らされて、その上で手数料まで取られるなんてこともありえる話です。
それだったら優秀なAIに運用してもらった方が良いという考えに至るのは自然なことですね。
ロボ・アドバイザーでAI(人工知能)にシミュレーションをしてもらい、資産運用を任せられる
ファンドマネージャーは運用を始める前に必ず「どのくらいの利益が期待でき、どのくらいのリスクが存在するか」などのシミュレーションを行います。
そして、相場の状況が変わったときなど想定と変わったときには状況に合わせて変更していきます。
資産運用ではこの最初の「シミュレーション」と、シミュレーションどおりに運用が進んでいるか(状況が変わっていないか)の「チェック」、変わったときにいち早く「修正」することが大事です。
優秀なファンドマネージャーはこれが上手いので、みんながその人に運用をお願いできればよいのですが、人間ですから一人で運用できるリソースに限りがあります。
しかし、AIならコンピュータのスペック次第でファンドマネージャー100人分でも1000人分でも1万人分でもシミュレーションや運用をすることができます。
そうなれば誰もが最高に優秀なファンドマネージャーに運用してもらうチャンスがあるようなものです。それも低コストで。
このようにラップ口座の運用をAIが行うサービスはすでに開始しています。AIが運用してくれるラップ口座のようなサービスをロボ・アドバイザーと言います。
「投資アドバイス型」と「投資一任型」の違い
ロボ・アドバイザーには「投資アドバイス型」と「投資一任型」の2つがあります。
アドバイスや銘柄の提案のみで、購入や売却は自分でする「アドバイス型」と、実際の売買を含めた運用まで任せられる「投資一任型」に分かれます。
順番に見ていきましょう。
投資アドバイス型のロボ・アドバイザー
投資アドバイス型は投資のアドバイスをしてくれるもので、資金やリスク許容度に応じたポートフォリオ(銘柄の組み合わせ)を提案してくれます。
アドバイスのみなので実際の売買は自分で行うことになり、購入後のリバランス(相場の変動などで銘柄を入れ替えをすること)も自分で行います。
投資アドバイス型のロボ・アドバイザーは、大手証券会社やネット証券で提供するものとしては以下のものがあります。
- SMBC日興証券・・・ fund eye
- SBI証券 ・・・ SBI-ファンドロボ
- マネックス証券・・・ マネックスアドバイザー
- auカブコム証券・・・ FUND ME
- 松井証券・・・ 投信工房
- 野村證券 ・・・ 野村のゴールベース
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 ・・・ Probo
※全てがAIではありません。AIを利用しないプログラムのものも含まれます。
投資一任型のロボ・アドバイザー
投資一任型のロボ・アドバイザーはラップ口座のように運用を任せることができます。
投資一任型のロボアドバイザーの一つがマネックス証券のマネラップ(MSV LIFE)です。
マネラップについては別ページ(マネラップ(MSV LIFE))で解説していますが、
- 「投資や資産運用を始めたいけど何からどうしたらいいかわからない」
- 「どんな運用プランを立てたらいいの?」
- 「たくさんの資金があるわけでもないけど運用は任せたい」
- 「投資プランのシミュレーションをしてみたいけど対人だと断りにくくて嫌だからコンピューターでシミュレーションしたい」
という方にピッタリです。
詳しくはマネックス証券公式サイト内のマネラップ(MSV LIFE)のページや、マネラップについての公式動画もあります。
投資一任型のロボアドバイザー一覧
マネックス証券のマネラップ以外にも投資一任型のロボアドバイザー(AI等が運用してくれるラップサービス)はあります。
投資一任型のロボアドバイザーサービス一覧とサービス提供会社(証券会社)、最低投資資金を比較しました。
- マネックス証券・・・ マネラップ(MSV LIFE) 1000円から
- 楽天証券・・・ 楽ラップ 10万円から
- ウェルスナビ ・・・ Wealth Navi 10万円から
- お金のデザイン ・・・ THEO(テオ) 1万円から
- 大和証券 ・・・ ダイワ・ファンドラップオンライン 1万円から
Wealth Navi、THEOはSBI証券 でも利用できます。WealthNavi for SBI証券(30万円から)、THEO+SBI証券(1万円から)
※最低投資資金は2018年4月の調査時のものです。
※全てがAIではありません。AIを利用しないプログラムのものも含まれます。
ロボ・アドバイザーサービスの有名どころとしてTHEO(テオ)やWealth Navi(ウェルスナビ)がありますが、証券会社のロボ・アドバイザーサービスも外せないですね。