株主優待の長期保有特典をつなぎ売りでもらう方法(1株+空クロス取引)
株主優待には長期保有特典といって、「何株以上を何年以上保有」というように長く株主でいると株主優待の内容が良くなるものがあります。
などは有名ですし、株主優待のオーナーズカードが届くのに約2ヶ月かかるイオンなども、長期優待とは違いますが手放せない人が多いですね。
また、コロナショックのような事態や、チャートで株価が長期的な下落傾向にあるような売りたい時に、株価がどんどん下がっていくのを見ながら「でも長期保有優待が・・・」と迷っているうちに売り時を逃してしまうのも避けたいですね。
このページでは長期保有特典のある株主優待でも、株価の値下がりリスクほぼ無し(100分の1以下)で手に入れることができる長期保有優待のつなぎ売り(クロス取引)のやり方を紹介します。(通常のつなぎ売りの解説はこちら)
■このページの内容
普通のつなぎ売りでは長期保有優待はもらえない
株価の値下がりリスク無く株主優待をもらうためにつなぎ売り(クロス取引)をしている人は多いですが、つなぎ売りで権利落ち日に全て売ってしまうと、この長期保有特典はもらえません。
長期保有優待の特典は、「100株以上」「3年以上」というように株数と持ち続ける期間が決まっています。
ただ、この確認方法を細かく見ると「何基準日連続で」となっていることが多く、例えば「3年以上」というものなら公式サイトの補足やQ&Aに「7基準日以上連続」と書かれているものが多いです。
3月と9月の2回優待がある場合は7基準日で3年以上になりますね(1回目でカウントスタート、2回目で半年以上、3回目で1年以上となる)。
ようするに、「何株以上」というのを確認する時期は決まっていて常に何株以上持ち続けていたかではないんです。
じゃあ毎回つなぎ売りをしてればいいのかというとそうではなく、同一株主番号でという条件が付きます。
株を全部売ってしまうと、また買い直すしたときには株主番号が変わってしまうので、同じ人でも違う株主扱いになって長期保有優待の特典は受けられなくなります。
そこで、株主番号を変えずに持ち続ける、かつ株価の下落リスクを避ける方法として、1株ずつ買える証券会社で単元未満株で1株だけ持ち続けるという方法があります。
1株だけの保有でも株主番号は変わらないため、長期保有の株主優待も受けることができます。
普段は単元未満株で1株だけ持っておき、株主優待がもらえる時期はつなぎ売りなどを使って「100株以上」というような長期保有優待の条件をクリアする株数に戻しておく。そうすれば、優待の時期以外のときは1株だけなので株価の下落リスクをかなり下げることができます。
ここからは、長期保有優待のつなぎ売りのやり方を解説していきます。
長期保有優待のつなぎ売り(1株+クロス取引)のやり方
やり方は簡単です。長期保有優待を狙う銘柄を決めたら
「1株ずつ買える証券会社で1株買って保有し続ける」
これだけで株主番号は変わらないので、あとは
「優待の基準日には毎回忘れずに必要な保有株数でつなぎ売りをするか買い増しをする」(権利月と権利付最終日をしっかり確認しておきましょう)
これだけです。
- 1株購入(これは保有し続ける)
- 保有株数チェックのタイミングで必要な株数を保持しておく(買い増すかつなぎ売りをする)
- 権利落ち日に売る(1株だけ保有に戻す)
- 2と3を権利確定日ごとに繰り返す
今持っている証券会社で単元未満株が買える(1株ずつ買える)ならそこで1株買っておけばいいし、楽天証券などの単元未満株を取扱いしていない証券会社の場合は他の証券会社に口座を作って1株だけ買っておきましょう。(別の証券会社で1株保有でも問題ありません)
1株買ったらあとは、優待の時期に権利付最終日つなぎ売りを繰り返すだけです。
1株買って持ち続ける、権利付最終日にはつなぎ売りで101株以上(必要な株数)に買い増し、権利落ち日からはまた1株だけ保有するということですね。
注意点は、PayPay証券やSMBC日興証券ではできないことです。この2社は単元未満株の名義が自分ではなく証券会社の名義になります。(※このページの後半で、長期保有優待のつなぎ売り(クロス取引)ができる(1株だけ買って自分の名義になる)証券会社も紹介しています。
デメリット
この方法のデメリットは、優待の保有株数の確認の時期に買い増し(またはつなぎ売り)を忘れてしまうと長期保有特典がもらえなくなることです。
1回でも忘れたらゼロからリセットで、カウントがスタートするのは次の権利確定日(半年後か1年後)からになります。
これから狙っていこうという場合は良いかもしれませんが、何年もかけて長期保有の権利をGETしたのを「忘れた!」って権利を失ってしまうと悲しいですよね。
また、人気の優待の場合は証券会社の在庫がなくて一般信用でのつなぎ売りができなくなる可能性もあります。
その場合は制度信用でつなぎ売りをしたり、つなぎ売りをせず現物で買って権利落ちで売るということもできますが、制度信用のつなぎ売りは逆日歩が発生する可能性、つなぎ売りをしない場合は権利落ち日に株価が下がるというリスクもあります。
そのため、株価が下落するリスクを取るか、長期保有の特典を失うリスクを取るかを天秤にかけてどうするかを自己判断で決めましょう。
また、この方法は優待の時期のたびに売買する手数料がかかりますが、これはSBI証券 やauカブコム証券などの手数料無料でつなぎ売りができる証券会社を使えば手数料はある程度の金額までは手数料ゼロにできます。
手数料無料でつなぎ売りができる証券会社
そこでおすすめするのが、手数料無料で取引できるプランがある証券会社を使ったつなぎ売りです。
ネット証券の1日定額制プランでは、1日の約定代金の合計が100万円まで手数料無料(0円)で取引できるところがあります。
特にSBI証券は、現物100万円・信用100万円までと売りと買いのそれぞれ1日100万円ずつ手数料無料のプランがあるのでつなぎ売りにはおすすめです。
- SBI証券 (公式サイト)
楽天証券・auカブコム証券・GMOクリック証券も1日100万円まで無料ですが、現物と信用の合算で100万円なので、買いと売りの両建てをするつなぎ売りだと50万円分(株価5000円まで)と、つなぎ売りできる無料枠はSBI証券の半分になります。
それでも複数の株主優待をもらいたい場合にはSBI証券の無料枠だけでは収まらない場合もあるので、口座を持っておくとよいと思います。
SBIネオトレード証券
- GMOクリック証券※単元未満株は買えない
- 楽天証券※単元未満株は買えない
※岡三オンラインとSBIネオトレード証券も手数料無料の枠はありますが、一般信用取引の売建ができない(制度信用だと逆日歩発生の可能性がある)ので除外しています。
ちなみに100万円までの無料枠を超えた場合の1日200万円までの手数料は以下のとおりです。
■100万円超〜200万円以下の手数料(※2021年9月時点の1日定額制プランの手数料)
- SBI証券 1238円
- GMOクリック証券 1238円
- 楽天証券 2200円
- auカブコム証券 2200円
つなぎ売りできる金額の大きさでも、無料枠を超えてしまったときの手数料で比較しても、つなぎ売りにはSBI証券がおすすめです。
←表は左右に動かせます← | つなぎ売り 無料枠 |
一般信用売 | 一般信用売 の貸株料 |
---|---|---|---|
100万円 現物100万円 +信用100万円 |
〇 | 短期3.9% 無期限1.1% |
|
岡三オンライン | 50万円 現物と信用合計100万円 |
〇 | 短期 なし 無期限1.5% |
岡三オンライン ※一般売り不可(逆日歩リスク) |
100万円 現物100万円 +信用100万円 |
× | - |
楽天証券 ※単元未満株は買えない |
50万円 現物と信用合計100万円 |
〇 | 短期3.85% 無期限0.8% |
GMOクリック証券 ※単元未満株は買えない |
50万円 現物と信用合計100万円 |
〇 | 短期3.9% 無期限1.1% |
auカブコム証券 ※単元未満株は買えない |
25万円 現物と信用合計50万円 |
〇 | 短期 銘柄ごと 無期限2% |
SMBC日興証券 ※単元未満株の名義が証券会社 |
無し 信用取引の手数料は無料 |
〇 | 短期 なし 無期限1.4% |
※単元未満株は買えない |
50万円 現物と信用合計100万円 |
× | - |
LINE証券 ※つなぎ売り不可 |
無し 信用取引の手数料無料 |
× | - |
※LINE証券はつなぎ売り(クロス取引)を受付していません(LINE証券ヘルプより)
一般信用売が×(取扱無し)の会社はつなぎ売りには不向きです(逆日歩発生のリスクあり)
長期保有優待のつなぎ売りが1社でできる証券会社
「1株だけ保有する証券会社」と「つなぎ売りをする証券会社」を別に分ければ多くの証券会社で長期保有優待のつなぎ売りはできます。
ただ、何社も口座開設するのは面倒という人のために、1社だけで長期保有優待のつなぎ売りができる証券会社を紹介します。
この3社は以下の条件をそろえています。
- 単元未満株を取扱している
- 単元未満株の名義が本人名義
- つなぎ売り(クロス取引)ができる
- 一般信用売りができる
また、SBI証券とauカブコム証券は手数料無料枠でつなぎ売りができます。(1日の約定代金合計がSBI証券は現物と信用それぞれ100万円まで、auカブコム証券は現物と信用合わせて100万円まで無料)