IPO初心者におすすめの証券会社は?取扱数や抽選方法などデータで比較
IPOについての解説(IPOの効果的な買い方)や、当選するためには複数の証券会社から申し込む(抽選口数を増やす)ことがコツだとここまででお伝えしました。
とはいえ、口座開設も面倒だし資金にも限りがあるので、ある程度は絞り込みたいですね。
そもそもIPOを取扱いしていない証券会社やネット証券もありますし、取扱いはしているけどほとんど取扱いが無いというところもあります。
また、取扱数は多くてもほとんどが店頭配分(基本的にお得意様優遇)だったり、お金を持ってる人が有利な抽選方式だったりすると、資金も少ない初心者はそこでいくら申し込んでも「全然当たらない・・・」を繰り返すことになりかねません。
申し込み数を増やすのは大事ですが、ある程度は効率よく時間と資金を有効活用していきましょう。
■このページの内容
- 2020年の取扱数や抽選比率などのデータ
- これからIPOを始める初心者におすすめの戦略
・資金が少ない人(小資金が不利にならない戦略)
資金目安:1000万円以下
・資金が多い人(お金で抽選を有利にする戦略)
資金目安:1000万円超〜
・資金が多い人(店頭で裁量配分を狙う) - 証券会社ごとのIPOでおすすめのポイント
- 効率よく当選するには戦略が必要
まずは2020年の取扱数や抽選比率などのデータを見てみましょう。
2020年の証券会社のIPO取扱数や抽選比率などのデータ
2020年の各証券会社のIPO取扱数や主幹事数、各社のIPOの抽選の比率や、IPOに有利・不利になる特徴のデータです。
取扱数が多いほどチャンスが多く、抽選比率は多いほうが当選しやすくて有利、口座数(=ライバル数)は少ないほうが有利です。
←左右に動かせます← 証券会社 ★は初心者への おすすめ度 |
2020年 IPO取扱数 (主幹事数) |
抽選比率 | 口座数 2021年3月 |
メモ |
---|---|---|---|---|
SBI証券
★★★★ 資金多い人が有利 |
85 (15) |
70% 完全抽選 (資金有利) 30% IPOチャレンジP |
約600万 | 資金多い人ほど有利 抽選の配分が多い ライバルも多い IPOチャレンジP 同資金で複数申込可能 |
みずほ証券 ★★★★ |
62 (21) |
10% 完全平等抽選 |
約180万 | 同資金で複数申込可能 取扱数が多い 主幹事も多い |
SMBC日興証券 ★★★★ |
52 (16) |
10% 完全平等抽選 +最大5% ステージ抽選 |
約350万 | 取扱数が多い 主幹事も多い |
マネックス証券 ★★★★★ 小資金の人におすすめ |
50 (0) |
100% 完全平等抽選 |
約200万 | 取扱数が多い 抽選の配分が多い 小資金が不利にならない 100%完全平等抽選 |
大和証券 ★★ |
43 (15) |
10〜15% 完全平等抽選 5〜10% チャンス抽選 |
約400万 | 同資金で複数申込可能 口座管理料あり |
野村證券 ★★★ |
41 (22) |
10% 完全平等抽選 |
約530万 | 主幹事多い 事前入金不要で抽選 ライバル多い |
岡三オンライン ★★★★ 事前入金不要 |
39 (0) |
10% 完全平等抽選 ステージ制あり |
約28万 | 事前入金不要で抽選 ライバル少ない 一般ステージは10% |
岩井コスモ証券 ★★ |
39 (0) |
10% 完全平等抽選 |
約41万 | 抽選は後期型 NISAでIPO不可 |
楽天証券 ★★★★ |
38 (0) |
100% 完全平等抽選 |
約600万 | 抽選の配分が多い ライバルも多い 抽選は後期型 倍率がわかる |
いちよし証券 ★★ |
33 (5) |
10% 完全平等抽選 |
不明 | 事前入金不要で抽選 |
極東証券 ★ |
26 (0) |
10% 完全平等抽選 |
不明 | ネット取引不可 電話取引も不可 |
東海東京証券 ★★ |
16 (1) |
10% 完全平等抽選 ステージ制あり |
約150万 | 同資金で複数申込可能 |
三菱UFJモルガン・ スタンレー証券 ★ |
19 (2) |
10% 完全平等抽選 |
約150万 | |
auカブコム証券 ★★ |
19 (0) |
ほぼ100% (抽選以外の 配分あり) |
約110万 | 抽選は後期型 抽選の配分が多い |
松井証券 ★★★ |
18 (0) |
70% 完全平等抽選 |
約130万 | 抽選は後期型 抽選の配分が多い 取扱数は少ない |
SBIネオトレード証券 ★ 事前入金不要 |
7 (0) |
10% 完全平等抽選 ステージ制あり |
約60万 | 事前入金不要 取扱数は少ない 完全抽選は10% |
ネオモバ ★★★ ひとかぶIPO |
7 (0) |
50% 完全平等抽選 |
約50万 | 1株からIPO抽選 50%完全平等抽選 残りは優遇抽選で 20代30代等を優遇 抽選の配分が多い |
CONNECT ★★★ 2021年2月取扱開始 |
0 (0) |
70% 完全平等抽選 |
不明 | 70%完全平等抽選 残りは優遇抽選で 39歳以下等を優遇 |
LINE証券 ★★★ 2021年5月取扱開始 |
0 (0) |
100% 完全平等抽選 |
約60万 | 100%完全平等抽選 抽選の配分が多い 2021年5月取扱開始 |
※口座数は一部予想を含みます
※表中の証券会社は、楽天証券・岩井コスモ証券・ネオモバ・LINE証券以外はNISA口座でのIPO取引に対応しています
※取扱数や口座数は基本的に各証券会社の公式サイトの掲載情報をもとにしておりますが、公式サイトに記載のない証券会社は当社調べのため、多少の誤差がある可能性があります。「だいたいこのぐらい」という基準としてご利用ください。
抽選配分の比率が10%というところが多いですが、その場合はその証券会社に割り当てられたIPOのうち、抽選になるのは10%だけで、他はお得意様などにまわされてしまう(裁量配分)ということです。
そのため、よほど大きな”見せ金”を入れて店頭での裁量配分を狙う場合(かつ営業のカモにされない自信がある場合)を除いて、これから新規で口座開設をする場合は”抽選の比率が高いところ”がいいですね。
また、そもそもIPOの取扱いがあまり無い証券会社よりはたくさんの取扱数(チャンスの数)があるほうがいいでしょう。
これからIPOを始める初心者におすすめの戦略は?
これから口座を作ってIPOを始めるという初心者におすすめの戦略は、IPOのための資金の多さで大きく異なります。
まず、IPO用の資金がたくさんあるかどうかで、資金が多いほうが有利な戦い方をするか、資金に関係なく平等な抽選を狙うかが決まります。
資金が多いなら資金を活かしたやり方、資金が少ないなら少ないなりの戦い方があるということです。
100万円以下くらいの小資金でIPOを狙う場合は必然的に小資金での抽選での戦いになります。
そして、資金が多い人の場合は「抽選」か「裁量配分狙い」か、つまり抽選を有利にするか、人為的に優遇してもらう裁量配分を狙うかに分かれます。
- 資金が少ない人 → 平等抽選で申込数を増やす
(資金目安:1000万円以下) - 資金が超少ない人 → 1株単位のIPO(1000円以下でも可能な案件も)
(資金目安:10万円以下) - 資金が多い人(抽選) → 有利になる証券会社で申込数を増やす
(資金目安:1000万円超〜) - 資金が多い人(交渉) → 裁量配分で人為的にIPOを回してもらう
順番に見ていきましょう。
資金が少ない人は”平等抽選”で申込数を増やす
(資金の目安:10万円〜1000万円くらいの間の人)
小資金でIPO当選を狙う場合は、抽選は1人1口で、資金力が関係しない”平等抽選”の複数の証券会社から申し込みをします。
この場合はマネックス証券がメインになるでしょう。そこに、資金を用意せずに抽選に参加できる事前入金不要の証券会社を足します。そして、少し資金の余裕があればサブでSMBC日興証券、楽天証券、みずほ証券などを入れます。
- メイン・・・マネックス証券
- 事前入金不要・・・岡三オンラインなど
- サブ・・・SMBC日興証券・楽天証券・みずほ証券など
順番に解説していきます。
■完全平等抽選でIPO取扱数も多い「マネックス証券」がメイン
この場合の一番のメインはマネックス証券で、マネックス証券は100%完全平等抽選なので、マネックス証券のIPOは100%全て抽選にまわってきます。※他の証券会社は10%だけ抽選のところが多いです。
また、完全平等抽選なので、抽選は1人1口で、資金力が関係しません。SBI証券のように資金があるほうが抽選で有利な証券会社だと、100株の申し込み(抽選1口)の人と1万株の申し込み(抽選100口)の人では資金力で大きな差がついてしまいますが、マネックス証券は100株でも1万株でも同じ1口の抽選権なので、小資金の人にはおすすめです。
「これまでの取引履歴」も関係ありません。お金持ちも普通の人も、優良顧客も口座を作ったばかりの人も、100%平等に同じ確率です。
口座数もSBI証券・楽天証券や大手証券会社と比べて少ない(=ライバルの数も少ない)です。ライバルが比較的少なく、抽選の配分は100%と他社より多く、資金が多い人が有利にならない。
しかもIPO取扱数も多いので、マネックス証券は資金力がなくてIPOを狙う人のメイン証券会社になるでしょう。
公式サイトにも詳しく解説があるので見てみてください。
マネックス証券(公式サイト)
■資金を入れずに抽選に参加できる「事前入金不要の証券会社」
証券口座に資金を入れていなくてもIPO抽選に参加できるIPOの事前入金不要の証券会社で、小資金の人でも抽選の口数を増やせます。
事前入金不要の証券会社は「岡三オンライン」「野村證券」「いちよし証券」「SBIネオトレード証券」などです。
野村證券は口座数が多いので、ライバルも多いですが、IPO取扱数も多いです。
岡三オンラインはステージ制で平等抽選にまわるのは10%なので割合は少ないですが、IPO取扱数も2020年は39件と多く口座数が少ないためライバルも少ない(2021年3月時点で約28万口座)ので抽選に参加しておいて損はないでしょう。
岡三オンライン(公式サイト)
■サブで楽天証券とSMBC日興証券・みずほ証券
マネックス証券以外に少し資金を入れられる余裕があるなら、楽天証券とSMBC日興証券とみずほ証券も検討してみましょう。
楽天証券もマネックス証券と同じく抽選配分100%で取扱数も多いですが、口座数が600万口座以上あってライバルが非常に多いので、マネックス証券に資金を入れても余裕があるなら、という感じです。ただ、抽選後に倍率が何倍だったかがわかるのでここで申し込むと「今回何倍だったか!」と外れても少しゲーム感覚で楽めます。
楽天証券(公式サイト)
SMBC日興証券・みずほ証券は抽選の配分は10%ですが、IPOの取扱数が多く、主幹事も多い大手証券会社です。抽選分に関してはマネックス証券と同じく1人1口の完全平等抽選なので、資金に少し余裕があればこの2社も口座を作っておくとよいでしょう。
SBI証券 (公式サイト)
みずほ証券(公式サイト)
以上が小資金でIPOの当選を狙う際のおすすめの証券会社です。
次は資金がさらに少ない人や、少額で挑戦したい人向けの戦略で1株ずつIPOに申し込む方法です。1000円から抽選に参加できる案件もありますが、1株ずつなので当選したときの利益も小さくなります。興味のない人は証券会社ごとのおすすめのポイントへ進んでください。
証券会社ごとのIPOでおすすめのポイント
資金の多さなどでおすすめの組み合わせを紹介しましたが、IPOに当選するための基本はIPO当選確率を上げるにはに書いたとおり、たくさん口数を増やすことです。
そうなると、基本的にはIPOで有利な証券会社に複数の口座を持っていたほうが有利になります。
そこで、ここからは上記の取扱数や抽選比率などのデータの表で★★★★★や★★★★になっているおすすめの証券会社について個別に詳しく紹介しましょう。
まずは★★★★★の「マネックス証券」です。
マネックス証券のオススメの理由は100%完全抽選
マネックス証券(公式サイト)
マネックス証券は100%完全平等抽選。つまりマネックス証券が取扱うIPOは全て平等に抽選されるため、資金の量やこれまでの実績に関係なく、新規の人でも当選の確率は同じくなります。
マネックス証券はIPOの取扱数も多く、口座数(=ライバルの多さ)はそこまで多くないので少ない資金でIPO当選を狙う人のメインとなる証券会社です。IPO初心者はまず抑えておきたい証券会社ですね。
次は★★★★の楽天証券、岡三オンライン、SBI証券、SMBC日興証券、みずほ証券です。
楽天証券のオススメの理由はマネックス証券と同じ
楽天証券は★★★★★のマネックス証券と同じく100%配分、基本的に1人1口の平等抽選です。ただ、楽天証券は口座数が多い=ライバルが多いため★★★★です。2021年5月に口座数は600万を超えています(マネックス証券の約3倍)。
また1回抽選に参加するのに2回申し込まなければいけないので手間もかかります(ブックビルディングの申込と購入の申込の両方をして抽選に参加)。
IPO取扱数もマネックス証券より少ないので、マネックス証券に入れて資金が余るようならこちらも作っておくとよいと思います。
楽天証券(公式サイト)
岡三オンラインのオススメの理由は事前入金不要
岡三オンライン(公式サイト)
岡三オンラインは事前入金不要、IPOの抽選時には資金を用意しなくてよく、当選したら資金を入れればOKなので、資金を拘束されずどんどんIPOに申し込めます。
この事前入金不要は野村證券やSBIネオトレード証券も同様なのですが、SBIネオトレード証券はIPO取扱数が少ないこと、そして野村證券は証券会社の大手なので口座数も多く、ライバルが多すぎるというデメリットがあります。
岡三オンラインは口座数が2021年3月時点で約28万口座(公式サイトのデータより)、同時期に500万口座を超えているSBI証券や楽天証券、野村證券と比べてライバルが圧倒的に少ないです。
そして、2017年秋からグループ会社の岡三証券の取扱うIPOは基本的に全て岡三オンラインでも扱うことになりIPO取扱数が急増。2020年は39件のIPO取扱数があり、IPO取扱数の多い証券会社の1つになっています。
SBI証券のオススメの理由はIPOチャレンジポイント
SBI証券 (公式サイト)
次にSBI証券です。こちらはIPO=SBI証券というイメージがある人も多いかもしれませんが、実はお金持ちが有利な抽選方式です。個人投資家に配分されるうちの70%が抽選、30%がIPOチャレンジポイント抽選です。
70%の抽選分は資金が多いければ多いほど有利なため、札束での殴り合い状態になります。資金力でIPOに当選したい人のメインとしても使えます。
100万円以下くらいの資金ではSBI証券が主幹事の時以外は抽選での当選は相当運が良くないと狙えません。(参考:SBI証券でIPOが当たらない理由)
ただし、SBI証券はIPOの抽選に外れるたびにIPOチャレンジポイントが1ポイントもらえるので、コツコツと貯めて「ここぞ!」というときにそのポイントを使って当選を狙えます。(IPOチャレンジポイントやSBI証券の抽選の詳細はこちら)
IPOチャレンジポイントは使ったポイントが多い人から当選なので、貯めれば貯めるほど当選する確率を高められるため、たくさん貯めておきたいですね。
ただし、当選には数百ポイント必要なことが多いのと、当選したら使ったポイントは無くなるので、何年もかけて相当地道に貯めて1回当てる感じになります。
赤ちゃんの頃から口座を作って将来のためにIPOチャレンジポイントを貯めておく(自分や配偶者の口座でも一緒に貯めていく)という人もけっこういるようで、コツコツ地道にが苦でない人にはおすすめです。
SMBC日興証券のオススメの理由は主幹事の多さ
SMBC日興証券は取扱数や抽選比率などのデータの表を見てわかるIPO取扱数の多さが特徴ですが、それに加えてIPOの主幹事になることが多いです。大手なので口座数も多くライバルも多いですが、IPOの数も多いということで口座を持っておいて損はないですね。
SMBC日興証券(公式サイト)
みずほ証券のオススメの理由は資金効率の良さ
みずほ証券は口座数が大手では少なく、2021年3月の証券総合口座の口座数は約183万。(公式サイトのデータより)
主幹事も多く、何より「同じ資金で複数のIPOの抽選に参加できる」という大きなメリットがあります。
みずほ証券(公式サイト)
効率よく当選するには戦略が必要
当選する確率を上げるためには、資金があまり無い人はマネックス証券や岡三オンラインのような100%完全平等抽選の証券会社に絞ったり、事前入金不要のネット証券を使うことで、資金を効率よく使うことができます。
逆に資金がたくさんある人は店頭配分を狙ってみたり、抽選だけど資金が多い人が優遇のSBI証券を使ったりといった、自分の状況に合わせた戦略が必要です。
このあたりはこれからIPOを始める初心者におすすめの戦略は?に書いているので見てみてください。